20周年にあたってのご挨拶

東北大学 理事

根元 義章




 石田(實)記念財団設立20周年、誠におめでとうございます。これもひとえに関係者各位のご尽力の賜物であり、深く敬意を表します。

 さて、財団が長年にわたる活動を推進されてこられたのも、理事長であります佐藤利三郎先生の熱意と、財団創立の起案者である故人 石田實氏の遺志を継ぐことにより、宮城県そして情報通信産業分野の発展のためご努力を続けてこられた結果であり、多くの学校に対してさまざまな形で貢献されてきたことに対し深く感謝しております。平成元年、財団設立以来助成金、奨励賞等の研究支援により多くの研究者育成に貢献されたことは、宮城県の大学の誇りの一つといっても過言ではなく、佐藤先生が研究者の育成とともに学校と企業の架け橋を作り宮城県の発展に尽くされてきたことで、多くの県内研究者の励みとなっていると考えます。
 この場を借りて石田記念財団および佐藤先生の今までの功績に対して謝意を表すとともに、今後の更なる発展に対して一層の期待をいたしております。

 ここでお聞きしました財団の歴史を簡単に紹介いたしますと、設立当初の平成元年から平成14年までは助成対象を情報通信分野に絞り3校を対象に限定し、平成15年からは対象分野を環境および情報システムを含んだ工学一般に、対象学校数を8校に拡大され奨励賞を授与されているとお聞きしております。大学側としましては、受賞対象が拡大することは大変うれしいことではございますが、表彰する側であります石田記念財団におきましては宮城県の情報分野の発展につながる事とはいえ、毎年数名から十数名の研究者に対して研究奨励賞の贈呈を継続することは大変なことと存じております。
 現在各大学の先生方はさまざまな賞の受賞や、企業との共同研究、研究費の獲得といろいろ尽力されておられるかと思いますが、研究費の少なかった時代に、このような趣旨の財団を設立されて助成を続けてこられたことは大変敬意を表すべきであると同時に、様々な状況の中で佐藤理事長をはじめとした関係各位の大変なご苦心も想像に難くないものと思われます。

 もう1つ申し上げたいのは、表彰して頂くということは金額の大小もありますが、すなわち選ばれたということ、賞賛を得たということであり、そのことが実は非常に大切なことであり素晴らしいということです。そのことを是非とも表彰される方々に改めてご認識を頂ければと思います。最近、日本もようやく研究に対する正当な評価を行なおうという動きが出ているようで、私も若干携わっておりますが、私は、「評価」とは「誉めること」だと思っております。「称える」・「誉める」ことは大切なことであり、人は、どんな事でも 誉められれば無限の才能を開花させる可能性があると考えております。誉められることが大きければ大きいほど、また、その回数が多いほど未知なる可能性に結びつき、その結果、産業発展に繋がるのではないかと考えます。
 このことからも石田記念財団による研究奨励賞こそ、まさしく各先生の研究成果を称えている賞であり、その賞を受賞することにより各先生方が次の時代の産業発展への担い手としてなおいっそう励んで頂ければと思います。

 現在、石油の高騰に伴い、ガソリン、光熱費の値上げ、その他食料品の物価上昇など世の中全体が厳しい状況にも関わらず、民間の助成団体である石田記念財団が研究支援の大学を増やし、かつ、20年の長きにわたり100名以上の先生方に助成金及び奨励賞の贈呈を続けておられることは賞賛に値することであり、今後も、多くの研究者・教育者への支援を続けて頂き、宮城県の産業発展に力を入れて頂ければと思います。
 大学としましても石田記念財団から贈呈された助成金・奨励賞を励みに、なおいっそう新しい研究に力を入れ、少なからず宮城県の産業発展のために力添えさせて頂ければと考えております。

 最後になりましたが、今後の石田記念財団の更なる発展を祈念いたしまして、お祝いの言葉とさせて頂きます。
 
以 上




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