創立10周年にあたり

石田(實)記念財団 理事長

佐藤 利三郎 氏




 このたびの10周年誌発行にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。

 当財団は平成元年に設立され現在に至っておりますが、これまでの足跡を振り返りまして、皆様のおかげで無事10周年を迎えることができました。 心より御礼申し上げます。また、今後に向けての再確認という意味も含めて本日はよろしくお願いします。

 さて、当財団の名称の由来であり私の先輩でもある石田實(故人)さんは東北大学電気工学科卒でありますが、 当時の東北大学には現在の工学部「電気」の伝統を創り上げてきたと言ってもいい、日本でも有数の卓越した知識を持った諸先輩方が多数在籍しておりました。 この東北大学は一に研究、二に研究、三、四が無くて五に研究と言われた程に非常に研究が盛んな大学であり、 こうした素晴らしい環境の中で御薫陶を得た石田先輩はその後、東京に於いて会社を創設、それが現在、横浜に本社を置く大井電気株式会社であります。 石田先輩はこの会社が軌道に乗り成功したことは東北大学に於いて学んだことが礎となっていると考え、何らかの形で地元に恩返しをしたいと思い、 東北大学の所在地である仙台の地に研究活動の援助を目的とした記念財団を設立することを決意した訳であります。 その遺志を継いだ石田哲爾(現大井電気(株)会長)さんをはじめとする関係各位のご協力により、 平成元年に晴れて「石田(實)記念財団」を設立、現在に至っております。

 設立後、10年が経過しましたが、設立当初の趣旨を踏まえて今までに数多くの技術者が立派な研究成果を挙げております。 また、簡単に資金援助と申しますが、この厳しい御時世において財団を維持するということはそれ自体が大変な難しさであり、 多くの努力、協力の上に成り立っているということを研究に携わる全ての方々は念頭に置き、 決して驕ることなく感謝の意を研究成果に反映させていただきたいと考えます。 この財団から助成金を受けた方々も早50名弱となりましたが、受賞者の方々が皆、現在も第一線で活躍されていることが何物にも代え難い財団の財産であり、 それこそが正に石田實先輩の願いそのものです。

 現在、財団の役員は常任理事、理事、評議員、幹事で構成されており、大井電気殿をはじめとした関係各社、東北大学、東北学院大学、東北工業大学といった 各大学の現役の諸先生方にも多数ご賛同いただいております。その中で私がたまたま理事長を任せられておりますが、今後も皆さんと共にこの財団を盛り立てていき、 研究者、技術者の支援・育成に助力していきたいと考える次第です。

 当財団の発展がひいては宮城県ならびに仙台市の発展へと繋がるよう微力ながら尽力していく所存でありますので、今後とも当財団の趣旨をご理解の上、 皆様のご指導、ご鞭撻を賜りたく、宜しくお願い申し上げます。

以 上

平成11年11月1日



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